Under the English Sky


英国、ケンブリッジでの生活で感じたことを書いていこうと思います。
by ellisbell
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社会問題

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今日も小春日和のケンブリッジ。

冬至を過ぎて1ヶ月、日が長くなったのが毎日実感できます。暗く長い冬がどんどん過ぎていくという感覚は、冬なりのろうそくの暖かい光の下での楽しみを考えに入れても、やっぱり嬉しいものです。先月に比べると、暗くなるのが明らかに1時間近く遅くなりました。もうすぐクロッカスやスノードロップが咲き始めるはずですが、その前に、一度くらいは雪が降って欲しいと(しつこく 笑)思っています。

先日、ノッティング・ヒルを歩いていたときに見つけたのはジョージ・オーウェルの住んでいた家。オーウェルの代表作は"Nineteen Eighty-Four"ですが、これは英国におけるユートピア文学の伝統の上に立つ、近未来小説です。第二次大戦直後に書かれた小説で、核戦争が起こった後の1984年が舞台。彼の他の小説と同じく、反社会主義(というか、むしろ反スターリン主義)文学として読まれることの多い作品ですが、そこで描かれるのは、個人が思想を奪われ、社会のあらゆる分野が統制され、管理される社会。市民はすべて屋内も屋外も監視カメラによって監視されながら生活し、社会にそぐわない人物は抹殺されます。統制を加えているのはThe Partyと呼ばれる党で、独裁者Big Brotherによって管理されています。"BIG BROTHER IS WATCHING YOU"という看板があちこちに貼られた戦慄の世界ですが、ある意味で今のイギリス社会が監視カメラによって制御されていることを考えると、オーウェルの描いた近未来はあながち旧ソ連だけを批判しているとは思えません。

最近、英国内で社会問題化しているのが、テレビ局Channel 4の娯楽番組"Big Brother"。私は興味もないので一度も見たことがありませんが、何人かが社会から隔絶された家で共同生活を送っていて、24時間その様子はカメラで記録され、毎週視聴者からの投票で誰かが追放されていって、残った人が賞金を勝ち取るという番組。とても人気のある番組のようです。そしてこのBB、今はセレブバージョンを放映中だそうですが、その中でのインド人女優に対する差別発言が国を挙げての大問題になっているのです。これだけ人種が入り乱れているにも関わらず、階級問題ほど人種問題は頻発しない英国(発言した方も、ニュースなどでworking class girlと表記されていることに疑問を感じるのは私だけでしょうか)。インドのボリウッド女優に対して、数人が彼女の名前を茶化したり、食文化を皮肉ったり、英語のアクセントを真似てからかったりしたのです。この番組は性質上、一人に対するいじめなどは頻発しているようですが、ここに人種というセンシティブな問題が絡んでいるので、国会でも取り上げられ、連日大きく報道されています。ブレアさんやその他の政治家は差別発言を厳しく非難し、同じく有色であるヨーク大聖堂の大司教も遺憾のコメントを発表。当然、発言した女優は昨日の視聴者投票で番組から追放され、謝罪を繰り返しましたが、インドでも大きな問題として取り上げられていて、国家間の問題にも発展しかねない要素を含んでいます。

問題発言をした女優の追放と、これが社会的問題になったことを受けて、インド人女優の家族(本人は隔離された家にいるので、どの程度の問題になっているかをはっきり知らない)が、「英国に良識ある人々がたくさんいるということが分かって良かった」というコメントを出していましたが、社会の底辺に潜む問題が顕在化したと捉える向きも多く、日本も含めて今後の多民族社会を考えさせられる話だと思いました。
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by ellisbell | 2007-01-21 03:50 | society
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