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Under the English Sky


英国、ケンブリッジでの生活で感じたことを書いていこうと思います。
by ellisbell
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「不思議の国のアリス」

「不思議の国のアリス」_c0105386_7134370.jpg

ロンドンに、English National Balletの公演、Alice in Wonderlandを見に行ってきました。

「不思議の国のアリス」_c0105386_7141317.jpg今日は日帰りのロンドン。50分でロンドンに着きますから、便利なものです。友達と待ち合わせて、お昼は中華街で飲茶をいただきました。久しぶりの飲茶、おいしかったです。食べ過ぎで眠くなるのを防ぐため、しばらくコヴェントガーデン周辺を歩き回って、目的地、London Coliseumに向かいます。ナショナル・ポートレイト・ギャラリーのお向かいにある大きなホール、今の演目は「不思議の国のアリス」。バレエで「アリス」なんて聞いたことがなかったので、とても楽しみにしていました。きっと英国のモダン・バレエだろうと思っていたら、何と楽曲はチャイコフスキー。?が頭を飛び回っていましたが、席に着いてプログラムを広げてようやく納得。チャイコがもともと「アリス」のために曲付けをしたわけではなく、バレエにアレンジする際に、チャイコの曲を使ったということでした。マチネのせいもあり、精一杯着飾った子供たちもたくさん来ていました。きっと未来のバレリーナを夢見ているのでしょうね。ほとんど女の子たちで、可愛らしかったです。

「不思議の国のアリス」_c0105386_7145885.jpg最近ロンドンのあちこちで宣伝されているのは、冒頭に出した、このかわいらしいアリスのポスター。私たちがイメージするアリスの通り、ブルーの服に白のエプロン、そして金髪のアリスです。バレエですから台詞はなく、舞台装置も驚くほど派手なものはありませんでしたが、よく知られた物語だけあって、かなりヴィジュアル的にもイメージ通りの舞台が作り上げられていました。ほとんどのキャラクターがきちんと着ぐるみを着て、美しく踊りあげるのには、さすが!と思いました。内容としては、バレエとして初演されたのが1953年ですから、クラシックバレエ的な美しさと、モダンなダンスパフォーマンスがバランス良く組み合わされていて、素敵な舞台でした。また舞台照明の色遣いとハイライトの当て方がとてもうまくて、ダンサーの動きに、例えば緑色の照明が組み合わされることで、「ああ、彼はイモムシだ」とすぐに分かるように作り上げられています。(イモムシさんのパフォーマンスが最高に美しい動きでした♪)夢の中なのでナンセンスな部分を舞台の上で視覚化するのは難しいと思いますが、良くできた演出だったと思います。

ただ一つ違和感があったのは、とてもとても美しい舞台だったこと。バレエですから、本当にすべての動きが美しく、どんなに奇妙な生き物の衣装を付けていても、いったん踊り出すととても美しいのです。バレエとしては、だから、素晴らしかったのですが、原作のグロテスクな部分が出ていなかったのが少し残念でした。アリスは何と言っても、「言葉」が重要な物語だと思うのです。その意味で、身体ですべてを表現することに、もちろん素晴らしい芸術表現ではありましたが、アリスの物語としては少し違和感を感じました。ただ、アリスの物語は、よく知られているように、キャロル自身が挿絵をつけて最初に書きましたし、出版の際にもジョン・テニエルとしつこく協議してテニエルの挿絵をつけて出版しました。その絵も物語と同じくとても重要な「本の一部」だし、その意味ではヴィジュアルもとても大事な部分なのですよね。そしてテニエルの挿絵のグロテスクさもある程度は表現されている舞台ではあったのですけれど・・・やっぱり美しかったです。

バレエを嫌ったルイス・キャロルは、さて、この素敵な舞台をどう思ったでしょうか。
by ellisbell | 2007-01-04 07:15 | literature
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